太陽の家
「それは……その」

「キャバは、家族は?」

照れくさくなり、話題を変えた。

「……いる、けど……連絡とってない」

「何で?」

「事故のこと、親に話したら……勘当されて、自分で全部何とかしろって」

「ひどい!!」

ニートはキャバの家族に腹を立てたが、キャバは冷静だった。

「…普通だよ。私が親でも、そうするわ」

「………友達は?」

「事故……起こしてから、誰にも何も言わずに退学届け出して、ケータイ変えて、誰とも連絡とってない。家族も、私の連絡先とか知らせてないし」

「何で?」

キャバは黙った。

「…………………」

「…芳彦の奴、大丈夫かな?」

「精密検査で異常はなかったって」

二人の前を四人の若者が通り過ぎていった。

おそらく、学生だろうか。

入院した友人のお見舞いに来たらしい。

「いいね、あーゆーの」

ずっと部屋に閉じ込められていたニートは、楽しそうな彼らがうらやましかった。

「怖かった………」

「う?」

キャバの顔は暗かった。

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