私が愛したのは最低な人間でした
今まで通っていた高校を辞めて、東京に行った。
みんなと離れるのは寂しかったけど、それよりも期待の方が大きくて。
もしかしたら会えるんじゃないかとか、同じ東京の空気を吸えてるのかなとか、色んなことが頭の中を駈け巡った。
引っ越し先は、転勤先近くのマンション。
交通網が便利で、前に住んでいたところと比べると、人や車、建造物も多くて、断然都会だった。
高校は家から割と近めなところを選んだ。
偏差値は今まで通っていた高校とほぼ同じくらいだし、家から近くて便利だからという理由で決めた。
そして、五月の初期に転入試験を受けて無事に合格。
俺は、私立蛯苑学園高等学校に通うことになった。
本当は、大好きな彼女のいる高校を探して入りたかった。
だけど、彼女がどこら辺に住んでいて、どこの学校に通っているのかなんていう情報は、全くもって俺の耳には入ってこなかった。
だから、信じられなかったんだ。
家から近くて、偏差値も自分に合っているからという理由で試験を受けた高校に、まさかずっと想い続けていた人がいたなんて。