私が愛したのは最低な人間でした
凜…。
凜も喜んでくれてるよね…?
しばらく抱き締めていたら、凜がモソモソと動き出して、俺はそれを合図に凜から身体を離した。
『ん?』
どうした?
大好きな人に温かな視線を向ける。
あ、れ……?
でも、凜は戸惑うような、困惑してるような、複雑な表情を浮かべて立っていた。
あ……。
そうじゃん…。
俺、まだ凜を傷つけたこと、謝ってない…。
言わなきゃ。
あれは誤解で、俺が意図的にやったんじゃないんだよって。
そうじゃないと、またこの子は俺を避ける。
あの地獄のような日々に、逆戻りになってしまう。
そんなのは嫌だ。
もう、苦しい思いも、後悔もしたくない。
『り…』
「ご、ごめん…。誰、だっけ…?」
え……?
だ、誰って……。
告げられたその衝撃的な言葉に、今までの晴れやかな気持ちが一転。
頭が真っ白になって、どん底に突き落とされたような気分になった。