私が愛したのは最低な人間でした

おいおいおい…。





嘘…だよな?



冗談だよな?





凜を見つめる。



だけど、彼女の表情は至って真剣で、本当に俺がわからないんだと目が訴えていた。





「この人は誰?」って……。





何でよ…。


俺だよ…。





琉希だよ……!





忘れた?


そんなわけ無いよな…?





小学生の時、一緒に登下校したじゃん。


寄り道して遊んだじゃん。





あの日だって…俺、頑張って……。





凜も…その気だったんじゃなかったのか?





だから…。


だからあの時、俺に持ってきてくれたんでしょ…?





色々あって話せなくなっちゃったけど、俺の存在ごと記憶から消されてるなんて、そんなの…そんなの……!





ねぇ…君は。



自分が好きになった男のことを、たった五年で忘れられるような人なの…?





それとも…あれは俺の勘違い?



最初から、俺のこと何とも思ってなかったの?





ねぇ、凜…。





お願いだから、そんな目で、見知らぬ人を見るような目で、俺を見ないでくれよ……。


< 36 / 62 >

この作品をシェア

pagetop