私が愛したのは最低な人間でした
おいおいおい…。
嘘…だよな?
冗談だよな?
凜を見つめる。
だけど、彼女の表情は至って真剣で、本当に俺がわからないんだと目が訴えていた。
「この人は誰?」って……。
何でよ…。
俺だよ…。
琉希だよ……!
忘れた?
そんなわけ無いよな…?
小学生の時、一緒に登下校したじゃん。
寄り道して遊んだじゃん。
あの日だって…俺、頑張って……。
凜も…その気だったんじゃなかったのか?
だから…。
だからあの時、俺に持ってきてくれたんでしょ…?
色々あって話せなくなっちゃったけど、俺の存在ごと記憶から消されてるなんて、そんなの…そんなの……!
ねぇ…君は。
自分が好きになった男のことを、たった五年で忘れられるような人なの…?
それとも…あれは俺の勘違い?
最初から、俺のこと何とも思ってなかったの?
ねぇ、凜…。
お願いだから、そんな目で、見知らぬ人を見るような目で、俺を見ないでくれよ……。