私が愛したのは最低な人間でした
「いっ……つぅ……!」
叩かれた頭を押さえ、神崎は涙目で仁香を睨みつける。
「何すんだよ!この怪力女っ!!」
「やばっ!ごめん、つい…」
顔の前で両手を合わせ、仁香は素直に謝る。
それからすぐに真顔になって。
「でも、やめてね?凜に小学生の頃の話をさせるのは」
そう、真剣な口調で言った。
あ、そっか。
仁香には去年話してたんだっけ。
「ん、何でよ?」
キョトンとする神崎。
「それは…。えっと…」
言いづらそうに言葉を濁らせ、仁香はチラッと私に視線をやる。
いいのに。
そんな顔をしなくても。