私が愛したのは最低な人間でした
朝のHRを告げるチャイムが鳴り、仁香を含めたクラスメート達は早足に自分の席へと移動する。
「なぁ、藍澤。転校生が来るってほんと?」
カタンと音を立てて椅子に座りながら、隣の席の神崎翔太(カンザキ ショウタ)が尋ねてきた。
神崎とは席が隣同士ということもあって、クラス替えをした最初の日に知り合った。
明るくて関わりやすい。
クラスのみんなからも慕われているような人。
『うーん。仁香から聞いたけど、どうなんだろうね』
「転校生とか来て欲しいけどな」
神崎はニカッと笑う。
「つーかさ、この時期にって珍しくね?」
『言われてみれば……』
新学期を迎えて約一ヶ月。
こんな中途半端な時期に転校だなんて…。
親の転勤か何かなのかな。
まぁ、ほんとに来るかどうかは、わからないんだけどね。