私が愛したのは最低な人間でした
だって、ねぇ。
みんな注目する人の口から、そんな言葉が出てくるなんて。
誰も思わないよ。
『で、でも…彼女はいたでしょ?』
「………………………………………」
…………… ……………。
……あれ?
『えっ、ちょ…冗談、だよね…?』
「十七年間フリーですけど……何か?」
まじですか!!
え…な、何で!?
『彼女いたことないの!?』
「ないよ」
嘘っ!?
『な、何で!?告白されたことあるでしょ!?』
ピンポンパンポーン。
〔一番線電車が参ります。黄色い線の内側まで下がってお待ちください〕
私の声に重なるようにしてアナウンスが流れた。
あ、電車来る。
「告白はあるけど、全部断ってる」
私の声が聞こえていたのか、琉希くんが言った。