私が愛したのは最低な人間でした
『…断ってるの?』
「だってさ、好きな人とじゃないと付き合いたくないもん。俺……いるからさ」
『えっ!?』
好きな人いるんだ…。
埼玉で同じ学校だった子とかなのかな?
そう考えてると電車が来て、音を立ててドアが開いた。
車内は結構空いていた。
蛯苑学園は部活に入っている生徒が多いからか、同じ制服を着た人の数は少なかった。
ラッシュ前ということもあって空席が目立っている。
「座ろっ!」
琉希くんは二つ空いている席に行き、腰をかけると私に手招きした。
『あ、うん!』
頷いて琉希くんの横にちょこんと座る間も、容姿のせいか、向かいの席や立っている人達が琉希くんの方をチラチラと見てきていた。
しかし、琉希くんはといえば全然気にしていない様子。
慣れてるのかな?
「凜は最寄りどこ?」
至近距離から見つめられる。
やば。
近くで見ると、よりかっこよく見える。
顔近いよ…。
この状況、かなり緊張する。
胸がドキドキしてる。