私が愛したのは最低な人間でした
正面で向き合う二人。
速水くんは単独でいることが多くて、少し関わりにくい雰囲気を持った人なんだけど、ルックスがよくて運動神経もいいから、多数の女の子から注目を浴びている存在なんだ。
琉希くんが来てからも、速水くんの人気は維持され続けている。
そんな二人が一緒にいる姿はとても絵になった。
「…わかった。部長とコーチに伝えとくから、放課後体育館に来て」
琉希くんが男バスに入部したいという希望を伝えると、速水くんは淡々とした口調でそう告げた。
「さんきゅ!助かる!!」
こうして琉希くんは、放課後、正式に男子バスケ部に入部することが決まった。
そして、何故か……。
「凜ちゃん。ルール覚えてきた?」
『あ、いえ……!まだちょっと…』
三年の男バスの部長に顔を覗き込まれて、私は苦笑いを浮かべる。
そう──。
何故か、私も男バスにマネージャーとして
入部することになってしまったのだ。
理由は簡単。
男バスにマネージャーがいなかったから。