わたしと吸血鬼×2♥~滝川龍牙編~
プロローグ
人は何故すぐ死んでしまうんだろう。
人はなんて愚かな生き物なんだろう。
人はなんて弱い生き物なんだろう。
人は何故、簡単に壊れてしまうんだろう――――・・・。


ある日1人の心の暖かい男の子がいました。その男の子は皆から愛されていました。家族からも学校の友達からも先生からも皆から愛されていました。
しかし悲劇は突然やってきました。その男の子はいつの間にか恐ろしい化け物になってしまい、皆から恐れられました。男の子は訳が分かりませんでした。見た目はいつもと同じなのに、自分のどこが化け物になったのか、自分が何故こういうことになったのか分かりません。
化け物になった男の子は皆から恐れられ、昨日まで一緒に遊んでいた友達や、昨日まで勉強を教えてくれた先生、昨日までずっと一緒に暮らしてきた家族でさえも男の子を恐れ、拒絶しました。
化け物になった男の子は皆を憎み恨むようになり、日に日に心が氷のように凍っていきました。以前のような面影は全く無く、あんなに暖かい心を持っていたはずの心は闇より深き場所に落ちていき、感情を無くし、憎しみから人を襲い、完全な化け物と化してしまったのです。
吸血鬼いう化け物に・・・―――――。

「りゅーうーきーー!」
これは悲しい悲しいある吸血鬼のお話。
「りゅーうーきーー!!」
自分の大切な人が・・・、
「りゅーうーきーー!!!」
あっけなく・・・・、
「りゅーうーきーー!!!!」
「…あ゛ぁぁぁぁーー!!!!!!」
「うわぁぁぁぁーーー!!!!!!」
「うるせー!!!さっきから隣でデカイ声出すんじゃねーよっ!!!つーか耳元で大音量で叫ぶなっ!!鼓膜が破けるだろうがっ!!!」
「うるさいやいっ!!」
「何が、うるさいやいっだ!!」
「元はといえば龍牙が無視するからじゃん!!この……読、書ヤ゛ロ゛ーー(泣)!!」
「なっ泣くことないだろう!ちょっと本に集中してただけであって別に無視、してたわけではない……し?」
「な゛んか変な間があ゛ったー!しかも最後に?付いてだしー(泣)!!」
「あーもう分かった分かった!!俺が悪かったって!ごめんな、さゆみ!」
「…う゛ー、本当に悪かったって思ってる(泣)??」
「思ってる思ってる!心から思ってる!だからもう泣くなっ!なっ?」
「う゛ーー、りゅうきー…」
「何?」
「頭なでてー…」
「っ!…はいはい(笑)」
龍牙はさゆみの可愛らしい発言に頬を赤く染め、そして口元をさゆみにバレないように少し緩ませ、小さな宝物を壊さないように、そっとさゆみの頭を撫で始めた。


これは悲しい悲しいある吸血鬼のお話。
自分の大切な人が、あっけなく、自分の手の届かないところに行ってしまうお話。
・・・そして、自分の大切な人を、壊してしまうお話――――。
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