フライング
子どもの頃「ジングルベ〜ル」にいちいち反応していた彼、ジンくんと出逢ったのは半年前。
親友のミサトと、久しぶりに飲もうと待ち合わせた駅前でのこと。
「ヤスの友達。ジンくん」
意味ありげに微笑むミサトから、ヤスくんの隣にいた彼を紹介された。
……あぁ、そういうことか。
ミサトがニヤニヤしていたわけを理解するのに時間はかからなかった。
だって。
彼は、私の「理想」そのもの。
ひと目見ただけで、彼のすべてを知るなんて無理な話。
そんなことわかってる。
けど。
それでも私は、彼に恋をした。