STEP UP
初めて会ったときは、彼の頭の上がよく見えた。
それがいつの間にか私を少し見上げるような視線になり、その強い瞳につかまってしまった。
同じ歩調で歩く日々の中でいつしか同じになった目線。
それなのに。

「どうして同じ年じゃないんだろう」

何度も、何度も繰り返される同じ言葉。

「うん」
「俺、もっと早く生まれたかった」
「そうだね」

どうしようもない年齢の差を彼はいつも考えている。
学年で言えば2年。
大人になればきっと気にならない差も、学生という今の自分たちにはとても大きな差に思える。

「あのね」

そっと背中に手を回せば、びくりと体を震わせて彼が顔を勢いよく顔を上げる。
驚いたような目と視線を合わせれば、少し赤くなった顔をして見つめ返してくれた。
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