Arrivederci!
綺麗な白い花を見つけた。
そうだ!
ヒビキにあげよう。
ボクは、そっと白い花をくわえて駆け出した。
胸がキミにあえない哀しみで一杯なんだ。
キミに会いたい。
キミはボクを変えてくれた。
ボクは昔、人間の男の子に名前を貰った。
親友だと言ってくれた、その子はいつしかボクの事を見てはくれなくなった。
いつしかボクの事を名前で呼んでくれなくなって、ボクの事さえ忘れてしまった。
哀しくて哀しくて、寂しい夜に、キミは名前をくれた。
新しい名前をくれたんだ。
だから、ヒビキ。
キミは今、何処にいるの?
寂しくて泣いていたらどうしよう?
待ってて。
ボクが必ず行くからサ。
沢山の人込みの間をぬってボクは走った。
キミがなくした笑顔を取り戻してあげる。
だから、独りで泣かないで。
風が強く吹いた。
「あっ」
ほどけかけていた赤色のリボンが道に落ちてしまった。
あのリボンはヒビキがボクにくれたプレゼント。
初めてもらったプレゼント。
ボクは慌ててリボンを拾おうとするけど、なかなか拾うことができない。
その時、
キキィーッ。
物凄い大きな音がしてトラックがボクをひいた。
「…ヒビキ」
嗚呼、どうか笑って?