Arrivederci!
ending
夜の草原に小さな少女がヒトリしゃがみ込んでいた。
「泣いてるの?」
心配そうなアルトの声に少女は泣き腫らした顔をあげた。
目の前には真っ黒い髪と目を持った少年が少女を見下ろしていた。
その手首には赤色のリボンが巻かれている。
「キミは独りなんかじゃないよ」
少年は少女に言った。
「でもお母さんも、あの子も私を置いて星になっちゃったの」
少女の言葉を少年は優しく笑った。
「ううん、あんなに遠くじゃないサ。もっと近くにいるよ」
少女は目を丸くしてきょとんと首を傾げた。
「キミにいいモノをあげる」
少年はポケットから大事そうに白い花を取り出した。
ゲッカビジンの花だった。
「キミにあげる」
少年は嬉しそうに笑った。
「ありがとう。」
少女も嬉しそうに笑った。
「貴方は、だあれ?」
少女は少年を見た。
「チノだよ」
嬉しそうに少年がはにかんだ。
end.