believe
下に降りて駐輪場につく
もはや、駐輪場ならぬ駐バイク場
もちろん、自転車なんて一個もない
わかったよ私は、校舎内の壁の穴といい、この駐バイク場といい
全てはこやつらのせいだな
「まったく、、、」
勝手に心で母親気取りをしながらみんなについていく
「おーとか!ついたよ」
顔を覗き込むようにいってきた蓮
「こ、ここ!?」
そこには、縦にも横にも大きい真っ白な直方体のガレージがど真ん中にドーン!っとあってガレージには5つ扉がついていた
なるほど、ここは幹部用のバイク倉庫ってわけね....
ち、な、み、に
何回も言うけど私たちはれっきとした高校生です。
一応授業も、うけてます。今日サボったけど....
そんなことを言ってる間にみんなそれぞれ自分の場所へ行き、さっさとバイクを出していた
おぉ...!!!!
「かっこいい....」
思わず心の声が溢れる
形も種類も色もみんなちがう
ほんとに一人一人の個性みたい
これが、鳳桜の幹部か。
改めて感じた瞬間だった
「乙夏、こっちこい。」
そんな私のうぬぼれを遮るように言いながらヘルメットを投げてくる春道
「うわっ!ちょ、びっくりするじゃん‼︎」
あなた方みたいに反射神経良くないもんでね
「だまってかぶっとけば、いいの。」
グイッ
「っわ...!!!」
一瞬すぎて何が起こったのかすぐにはわからなかったけど
春道の腕の中にすっぽりとはまった私
「ちょちょちょ!!!離して!」
事の大きさにさすがにパニクる
「うるさい。だまれ」
そう言ってヘルメットを上からボスンとかぶせる
しかもうるさいだまれとか何様ですか?
「はい、完了。」
にやっと笑って私を離した彼は
きっと私がゆでだこより赤くなっていたのを知っているだろう
すっごい恥ずかしい....
でもヘルメットを被ってたから周りのみんなにはバレてないはず.....
ありがとうヘルメットよ。
静かに心の中で感謝を告げる
「おい、ぼーっとしてねえでのれよ」
また春道に怒られた
別にぼーっとしてないし!いちいち怒りすぎたし!!
若干すね気味で彼のバイクの後ろにまたがる
あ、てか勝手に乗っちゃったけどいいよね?
うん、いいよいいよ。
さっきから早くしろ早くしろうるさいし
そんなことを考えている間に悠登はすでに出発していた
「あぶねぇから、つかまっとけ。」
「え?あ、うん」
そう答えたものの、どこを掴めばいいかわからない
そんな私を見て呆れ顔で見てくるこいつ
「な、なによ」
「つかまんねえとおちるけど?」
んなことしっとるわ!!
「そんなのわかってますけど、掴むところがないの!」
精一杯主張をする
「ったく。小1でもわかるんだけどな」
小馬鹿にされつつそれだけ言うと私の手を引いて、自分の腰へと回す
「これで分かったか?お嬢さん」
ほら!またそうやってすぐバカにする
しかしこの状況を整理してみよう
一気に近くなった距離。
彼の匂いまでする。
これは、桜のにおいだ。香水かな?
「うるさい!わかってるし!」
照れ隠しに必死に言う
春道とこんなに近くなったの初めてで、あからさまに緊張している私
「 んじゃいくぞ 」
フッと微笑みながらエンジンをきる春道に、なんだか胸がチクリとしたのは
気のせいだろうか?