believe
ーーガチャ
扉を開けると、そこはモノクロで統一された部屋が広がっていていわゆる殺風景な感じ
デスクと、ベットだけ置いてある
私も部屋に入り扉を閉めた
「ここは、総長室だ」
突然口を開いた春道
「そ、そうなんだ...」
私に返せる言葉はそれしかない
少しの間沈黙が続く
「なぁ...」
またしても口を開いたのは彼
「ん、なに?......ってちょっ!やっ」
ーーバンッ
「はる...みち...?」
何かと思えばいきなり壁に手首を掴まれ押し付けられる
いわゆる....
壁ドンってやつ‼︎‼︎⁉︎
私の心臓はものすごい速さで脈を打っていて、今にも爆発しそう
「おとか...」
いつもみんなとしゃべる声じゃない
吐息交じりの甘い声が私の全身をシビレさせる
数センチしかないこの距離
好きじゃなくても、ドキドキしてしまう
「なっ....なにってば....」
掴まれている手首。
どう見ても脱出できそうにない
「この部屋に、入れた意味わかってんの?」
「へっ?」
思わず変な声が出る
「だから、わかってんのか?ってきいてんの」
さっきよりもまた顔の距離が近くなる
たぶん少しでも動けば春道とキスしてしまいそうなくらいなそんな距離
「ちょちょちょちょ‼︎た、たんま!!」
さらに顔を近づけて私の瞳を捕らえて話さない彼
さすがに、止めに入る
「なんだよ....」
少しふてくされながらもなんだか楽しんでいる気がするのは
気のせいかしら?
「い、い一旦さはなれよ⁉︎ね⁈」
「 やだ 」
即答された。
それはそれは、悲しくなるくらい
「なっなんでよ...!」
「離れる理由がねえ」
そう言ってニヤッと笑う
結果どうすることもできない私
「はあ....」
小さくため息をつく
しかし春道がそれに気づいたようで
「..んだよ。そんなに俺と一緒が嫌かよ」
「...は?」
そうやってすぐ意味のわからないのとを言う
「いや、そういうわけじゃなくて...」
「じゃあどうゆうことだよ」
なにこいつ....!!
こんな一方的なことあるかってくらい、俺様なんですけど....
「そんなにあいつらがいいか?」
みんなと居た時みたいに哀しそうな顔をする彼
や、なにいってるの?
私にはさっぱり理解できない
ちょこんと首を傾げてみる
すると春道は目を見開き腕で口元を隠し目線を私から外す
「かわいすぎんだろっ....」
少なからずそう言っているのは聞こえたんだけど
か、かわいい!?
やはり何かの聞き間違えだろうか
しかしそんな私を思いを裏切る事件が起こる....
ーーチュッ
へっ...??
ん、まって今何が...
春道顔を見ればまた、いつものあの意地悪い顔に戻ってる
ま、まさか!?
「ねぇ、今もしかして...」
そう尋ねた私にかれはなんの悪気もなさげに
「キスしたけど?」
なんて言ってきた
「ふっふざけないでよ‼︎」
あまりのことの大きさに私は春道を突き飛ばし
ドアノブに手をかけた
とき、
私は近くのコンセントに足を引っ掛けて転びかける
「うわっ..!!」
痛みを覚悟し目をつぶる
とおもったら、なぜか転んでいない
それどころか私は春道の腕の中
「あっぶねぇ....」
とっさに私の腕をとって助けてくれたみたい
大きな音はしたけど、春道も怪我してなくてよかった....
「けが、してないか?」
抱きしめられたままそんな優しい声をかけてくれる
「だ、大丈夫...春道も怪我してない?」
「あぁ、俺は大丈夫だ」
ーーガチャ
「なーんかすごい音したけど‼︎だいじょう....ぶ...?」
突然ドアを開け中に入ってきたのは悠登
「あ。」
私たちの状況を見てイケナイものを見たかのようにそそくさあとづさりをする
そして、私も置かれている状況に気づき
とっさに彼から離れた
「な、なんか、お邪魔してごめんね?」
いやいや、そんなんじゃないし‼︎
「ちがうよ、悠登‼︎これはその、私が転んだのを助けてくれただけで‼︎」
「なにそんな、必死に弁解してんだよ。キスだってしたじゃねーか。」
「きっ....きす!?」
少々驚きながらもすぐ何かを察したような笑みで
「そっかそっか〜乙夏ちゃんもそうだったのか〜」
ふふふとか言いながら笑っている悠登。
言っちゃ悪いけど
ものすごく不気味。
っていうか!
「き、キスしたのは事故だし!しかも私もそうだってなんの話⁉︎」
きょとんとする悠登
「え、あ。そなの?」
「そうだよ!それ以外何があるわけ⁉︎」
少し早口になりながら問い詰める
「なんだよ〜俺てっきり二人はできたのかと思ったー」
つーまんね!
とかいいながら口を膨らませる彼
グホッ
その可愛さ、ちょっとやられた....
ふと、時計をみるともう夜の7時を回っていた
今日の夕飯作んなくちゃっ
「あの、ごめん。私そろそろ帰らなきゃ」
なんとも言いづらい雰囲気だったが
言わないわけにも言わず口に出した
「もう、帰るのか?」
不思議そうに尋ねてきた春道
「ゆ、夕飯作らなきゃだし」
彼の顔を見るとさっきのことが鮮明に思い出され恥ずかしくなった
「じゃあ、家まで送る」
バイクの鍵をとる彼
「い!いいよ、悪いし!」
「俺が好きでやってんの、」
そう言ってさっさと外へ出て行った
「ほら、春道が女子にあんなこというなんて滅多にないことだし甘えな?」
悠登まで、そんなこというので
申し訳ないけど送ってもらうことにした
「落ちんなよ?」
駐車場に着きバイクに乗る
「わかってるって!」
かなり恥じらいはあるけど、ギュッと彼の腰に手を回す
すると、彼は優しく笑って
エンジンを切った