believe
意味が分からないといった顔をする彼女
でも、今ここに華を置いていけば
間違いなくあいつが狂い出す事は目に見えていた
だったら二人でいた方が絶対にいい
そう思い込み俺はもう一度いう
「今日は二人でいよう」
そう熱い眼差しを送りながら言った俺に
彼女も何か察したようで
「...わかった.....。」
と言ってついてきた
ーー数十分後ーー
そこそこ大きい一軒家に着く
おれんちは、両親二人とも年末年始かえってくるか帰ってこないか
そんな家に彼女を入れた
「.....おじゃまします」
「だれもいねぇけど。どうぞ、」
そういって、奥の自分の部屋に案内する
「ここに座ってて、」
そう言うと俺は、リビングから食べ物飲み物を運んだ
ーーガチャ
なんの躊躇もなく開けたドア
しかし目の前にいたのは、血で汚れた服の代わりに警察でもらった服を脱いだ彼女の姿があった。
しかも、驚いたのはそれだけではない
「華......その傷。」
細い色白の肌に刻まれていたのは
無数の火傷の傷や、何かに切られたような跡
「.....この傷、汚いよね...?」
泣きながら俺に問いかける
しかし、突然のことすぎて返す言葉が見つからない
「私ね...お父さんから暴力受けてたの。今日起きた事件だってそれが原因なの」
だんだんと息が上がっていく彼女
「お母さんっ...私をかばおうとしてくれたの。娘にまで手を出さないでって....」
思わず息を飲む
「そうしたら、おとうさん....お母さんのこと殺しちゃった....。」
今までのことが全てつながり、俺はようやく理解した。
彼女がナイフを持っていたのはお父さんを脅そうとして
そして、自分を殴った後。華にまで手を出そうとした父親をみて
母親はとっさに父親をころしたんだ
「ぜんぶっ.....全部私のせいじゃない!あたしがっ...あたしがしねばよかったんだ!!!!」
そういって、今にも崩れそうな華
ギュッ
そんな彼女を俺は強く抱きしめた
「華のせいじゃない、華は悪くない。」
「なんで、どうしてあなたにそんなことわかるのよっ.....」
すごい力で俺を押しのけようとする
俺も負けじと更に強く抱きしめた
「おかあさんがっ!お前のお母さんが、最後まで守ってくれた命だろ⁉︎
なんでそんな簡単に死ぬとか言うんだよ!!」
必死に説得する俺
「華、心配すんな。お前の受けた傷は俺が全部無くしてやる。」
そういって彼女の頭を撫でるとだんだんと力が抜けているのを感じた
そして、ゆっくりと体を離す
そこには、涙を浮かべた儚げな美しい彼女の笑顔があった