believe












でも、その後すぐくらいから





華がおれを避けるようになった。












当時の俺は理由も全く分からず、ただただ毎晩夜の街に出歩き





華を探すことしかできなかった。











その頃から、俺と華の関係について噂が回ってるというのも耳にしたが、そんなの気に留めるはずもなく











そんな毎日を過ごして、3ヶ月位入った頃だった













「蓮、ちょっとこい。」



突然俺を呼び出したのは当時の黒虎の総長







「...はい」







とりあえずそう返事だけして後をついていく










総長室に入るとソファに座らされ

ゆっくりと目の前の人の口が開く















「おまえ華のあのことしってんのか?」











いきなり発せられた言葉




「あのこと?ってなんですか」







そんな重要なことを言われる予感がしてる時に総長が‘‘華”と呼ぶことにイラついてる俺









「やっぱり、知らなかったか....。」






だからなんのことだよ




内心思いつつもう一度聞き直す








「すみません。詳しく聞かせて下さい」








そう言うと総長はまた口を開いた














「華が、妊娠してるって話だよ。」




















「...は?」



どういうことだよ





思わず出た言葉。











「まさか、相手。おまえじゃねえよな」











今にも吸い込まれそうな鋭い目を向けられる










「華と、そういう関係にあったわけ?」









ただただ呆然としている俺を焦らせるような声




「あったのかってきいてんだよっ!!」










はっ



怒鳴り声とともにようやく我に帰る










「華とは.....一度だけありました。」





冷静に言ったつもりだけど、
そんなはずもない

















「 でてけ 」












「え....?」





「黒虎から、でてけ。」





「やっ...ちょっと待ってください!!」







事の大きさにようやく気づく








「女1人守れねえやつは、ここでは戦力外だ。お前に居場所はねえ。」












ーーバタン















一人取り残された俺









「っ.....ざけんなよっ....」









なんの涙かもわからない涙が出てくる









俺には、もうここに居場所はねえんだ。











そう思うと




俺の足は勝手にドアに背を向け







走り出していた







○*○*○*○*○*○*○*○*○*○*










「どこだよ....どこにいるんだよっ!」











夜の街に、俺はもう一度華を探しに来ていた





「ハァ....ハァ....」




息を切らし





「はなっ.....」



愛しい彼女の名前を呼ぶ










ピタッ









ふと、視界に入ったもの












それは、







病院の前で泣き崩れる









大好きな、




大っ好きな














華の姿だった。



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