believe



▷▶︎乙夏side



「はい、おきれる?」



あの後私は急いでおかゆを作り、今から瑛太に食べさせるところ



「ん、大丈夫」




そう言ってゆっくりと起き上がると、私は瑛太の口元におかゆを救って運ぶ




「はい、あーん。」



「ん、」




パクッ






珍しく素直に食べた弟に内心嬉しくなってしまう



「あとは、自分で食う」




「なんだ、食べさせてあげるのに」




久しぶりのことで嬉しくなった気持ちとは裏腹にさりげなく却下された




「ふー。」



一息つき、そろそろ本題へと入る




「春道...さっきの続きのはなししてくれる?」



テーブルに座りながらスマホをいじっていた彼に話しかける




「あぁ、」



とだけかえってきた



なぜ、春道と瑛太が一緒にいたのか


そして、なぜこの家にこうしているのか





どうしてもつながらないし、不思議...。




そうおもいながらも、テーブルの空いてる席に座り話しを続けた




い、とこだったんだけど




ふと目の前に座っている春道をみると
目頭を抑えこちらからは表情がみえないようになってる




でも、その姿がなんか色っぽくて妙にカッコよくって



思わず見惚れてしまう





「なにさっきからみてんだよ」




はっ!!!


しまった、見られてたのばれてたのか...




「べっ、別に見てたんじゃないし!」



「うそつけ、顔に見てました。ってかいてある」




フッと意地悪く笑う彼に胸がどきっとしたのは、秘密の話。




「て、ていうか!話してよさっきのつづき!」




話題をそらすため、さっきの話に持ち込む




「それめんどいから弟に聞け、眠い」



そう言った春道は、ほんとに疲れていて
見ている私でも明らかにそれはわかった




「瑛太?まぁいいけど...」



「じゃ、お邪魔した。行くぞ蓮」

「はーいよ、」


そう言うと彼は長い足で廊下をあっという間に歩いて



わたしがげんかんの扉を開けた時にはすでにバイクに乗っていた





「蓮も、春道もありがと。」




「大丈夫だよ、こちらこそありがとね?」




「ううん!全然!」




ニコッと笑った私をみて安心そうに頷いた蓮




「じゃあな。」




春道はそれだけ言うと、もう真っ暗な夜の住宅街に消えていった









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