believe





「おいっ!!お前何勝手なことしてんだ!!!」



近くにいたガタイのいい男が彼女の華奢な腕を思いっきりつかむ




「ったいっ....はなして!!」





しかしその手はビクともしない







「あーぁー。予定狂っちゃったわ」




笑い交じりの声でいった赤髪のその男




「仁...てめぇなんのつもりだ」





どうやら仁というらしい。




「最終兵器にとっておいたんだけど」




ーーグイッ



「きゃっ....!!!!」





勢いよく仁によって引っ張られた彼女の首には




嫌という程尖った



銀色のないナイフ






「はなっ!!!!」





名前を呼ぶとともに、彼女の元へと走り出す蓮





「ちかづくんじゃねえっ!!!」


ーーピタッ





尖った刃は蓮に向けられ、止まらざるを得ない






「いいか、よく聞け...。」




ゆっくりと開かれた口



その表情は苦しみを通り越した恐怖を感じさせるものだった



そんな彼の表情と場の空気に思わず唾を飲み込む。







そしてその口から放たれた言葉





「お前が動けば華がしぬ。だがな.....




お前が死ねば華は解放する。」












力強く響いた声。



「は!?おまえなにいって..!!「それでいいのかよ。」






「えっ.....?」




「俺が死ねば...華を助けてくれんのかよ」





私の放った言葉を遮り、蓮は歪んだ顔で言葉を口にする






ねぇ、蓮。



そんな辛そうな顔しないでよ.....





「あぁ。
お前が俺の目の前で死ねばだ」





この場所にはこの男2人しかいないかのように進んでいく話







「ちょっ....蓮!!私のことなんか今更かばわないで!!!」






‘‘今更”


その言葉に彼は今きっとたくさんの重みを感じているんだろう。




だって、



だって、そんなにつらそうな顔するんだから。





「ほらよ....」




ーーカシャン




蓮の目の前に投げられたのは
普通の日常では見ることはないであろう





黒く光る銃










そしてまた彼も、それを受け止めるかのように



ゆっくり、ゆっくりと拾い上げた







「蓮っ!!!やめて!!」



今私ができること、それは叫び彼を止めることしかない




下手に動けば、華さんが傷ついてしまう



それはきっと蓮が、いちばん望んでいないこと。






「なぁ乙夏...」



今にも消えてしまいそうなその声





「蓮やめてっ!!!」




どんなに叫んでも届かない





「あいつらに、伝えといてくれ....」







まさか、本当に死んだりしないよね?





「れんっ!!!!!」




ーーガチャ



引き金の音が響く




「お前らに会えてよかった....。




ほんとに鳳桜が...
あのあったかさが.....



大好きだったっ.....!!!!」




「れんっっっ!!!!!」









ーーーバンッ
















大きな音だけが、倉庫を包んでいた。
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