believe




「てか、乙夏いい加減着替えればー?」



ピコピコケータイをいじりながらふと蓮に言われ



「あ、そういえば男装のままだ」




と、今更気付く。




「ていうか、もう風呂入っていけば?」



「え...でも!それはさすがに申し訳ないって!」



「ここに住んでるやつが言ってんだから、大人しくいうこときいとけよ」



悠登の提案から始まり、まさかの聖月までもがOKしてくれたので



「じゃ、じゃあ遠慮なく....」



お世話になることにしました。




「着替え俺のでもいい?さすがに下着はないけど....」



「ごめん、やっぱ聖月の貸してくれない?」


「は、なんで俺。」


「そうだよ乙夏ちゃん!下着の話したからって別にそうい...「いいからお願い」



「ったく、しょーがねーな。」



半ば図々しく聖月にお願いし、悠登さんのは丁寧にお断りさせていただいた





「乙夏ちゃん、ひどいな〜」


わざとらしく、ふくれっ面をする彼



「悠登へんたーい。」


思わず笑って返せば、彼もニコッと笑って返してくれた







「乙夏、これ」


「ん、あ!ありがとう」


いつのまにか着替えを取ってきてくれた聖月は


おおきな白のロゴTを私に手渡す




「ついでに乙夏っちにお風呂案内してあげなよ聖月!」



「廊下出て手前から二番目のドア」



さらさら案内する気などないらしく、すでに彼はソファーに腰掛けていた




「大丈夫だよ、星也!聖月もありがと」





じゃあお風呂借りるね


それだけ残してリビングを後にする





ーーピロロロロロロ




ドアに手をかけたと同時になる私のケータイ




なんだろ?





「おーい、乙夏電話ー!」


蓮の呼びかけでもう一度リビングに戻り

ピカピカ光るケータイの電源ボタンを押すと





ー瑛太ー


と印された画面がでてくる





「あぁぁぁあ!!」



やばいっ!忘れてた!


ーーポチッ




「もしも..「もしもし!!?姉貴?!」



電話に出たとともに、私のいるリビングにも響くでかい声ででた我が弟



「ごめん瑛太!!ちょっと今日色々あって...今まだみんなと一緒にいるの」



「っなんだよ....姉貴になんかあったかと思って何回も電話したのに」







あとで、着信履歴を見れば

ー瑛太ー


と書かれた着信が何十件と入っていた




「ごめん!!あ、夕飯食べた?」


「たべてない」





時計を見れば8時半をさしていて


おなかが空いているせいか、瑛太の声も結構不機嫌。




「うっそ!!
瑛太、今日夕飯どうにかできる?私こっちで頼んじゃって」






頼んだのはほぼ言い訳に近く、
春道と色々話したいと思うのが本音だった




どうかわかってくれ、我が弟よ。





「金ないし、おれ料理作れない。」




がーーん。



「う゛っ.......」



こんな時に、この高2にもなって料理一つ作れない男は困る





どうしよう.....。





「乙夏ちゃん、弟くんならここに連れて来ちゃえば?」




「えっ?!いいの....?」



一人で唸っていた私に気を利かせてくれたのであろう悠登




「全然いいよ、俺迎え行くし」


「でも、私までお世話になるのに....」


やっぱり申し訳ない



「乙夏ちゃんは気にしないで、ほら。今日色々しゃべりたいこともあるでしょ?」





ニコッと笑って助け舟をくれた彼

やっぱりなんだかんだ言って悠登は、優しいし気がきく




「じゃあみんなごめん!今日だけ!」



それだけいうと、もう一度電話に戻り




「瑛太、いまからこっちきて?
悠登って人が迎えに行くから...」



「乙夏ちゃん、後のことは俺が直接話すからとりあえず風呂入んな?」



スッと私の手からケータイを取り


『任せて』


と言わんばかりにウインクを飛ばした彼に私も


『ありがと』


と、口パクで返し今度こそお風呂場へと向かった

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