believe
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「あっつい〜......ってまだかよあいつら!!!!」
ただいまの時刻A.M9:30
みんなの集合場所は私の近所のコンビニになってるんだけど....
「ぜんっぜんこない!!!!」
なぜ。なぜなんだろう。
星也は、私たちがコンビニに着いた時にはすでにいて
残すは同居三人組。
「乙夏っち〜、日焼けしちゃうから日陰入ってなよ」
「あ!うん、そだね」
こんな時でさえ気遣いができる彼は本当に紳士だ
「はぁ....」
ほんとにこの猛暑の中何分待たせりゃ気がすむんだよまったく
イライラしながらも、ふと車が過ぎ去った後の向こう側の道路が目に入る
「えっ.....や、まさかうそでしょ」
「どした、乙夏?」
や、まって朝からまさか....ね
「や....なんか、向こう側の道路にものすっごい量の女の子に囲まれた男子三人組がいた気がするんだけど...」
まさかまさか。
いや、でもあの顔面偏差値ではあり得ること.....
「え、どこどこ〜?」
星也も一生懸命探してて
でも目の前にはトラックやら車やらで視界が遮られている上
エンジン音も大きく、向こう側のことなんて全然わからない
はずなのに、、、
「「きゃぁぁあ!!かっこいい♡♡」」
「「はるみちく〜ん♡」」
「「悠登くんも、聖月くんもいるじゃない!!!」」
「「なんで鳳桜の幹部がこんなところに!?かっこいい〜♡♡」」
「「「.........」」」
こちらの三人組も状況把握しました。
ブォォォォォオン
信号も青に変わり、
大勢の女の子を連れたイケメン君たちがこちらに向かってくる
「あ!!乙夏ちゃん!ごめんね〜遅れて」
そんなに可愛らしく言われると、つい許したくなってしまう
だけどくしゃっと笑うその笑顔が、私に向けられていると知った
女の子たちの目線がかなり痛いです。
しかし、今度は私をにらんだかと思えば
「「えっ蓮さんと、星也くんまでいるじゃない!!」」
「「やだ!ほんとだ!かっこいい〜♡」」
なんて言ってる
そして、私達の目の前で止まった春道達
「いや、三人とも本当にごめんね!」
申し訳なさそうに言う悠登
「悪い、早めに出ればよかった。」
律儀に謝る聖月
「俺らは悪くないだろ」
なんやねんこいつ!!!
流れ的に来るかと思ったけど、まさかのスルーしたからつい心の中で突っ込んでしまう。
相変わらず、女の子たちは私達を囲むようにしていて
完璧私、邪魔者だよね....
「はぁ...」
自然と出るため息
コンビニに避難しよっかな
こそこそっとばれないように、静かに輪の中から抜ける
その時でさえ嫌な顔されるし....
もうなんなの!!
「おい、乙夏」
「は、はい!!」
そんなことを考えていると、春道に突如呼び止められる
「どこいくんだよ」
「や、えーっと....コンビニ?」
謎に疑問系になりつつ、
女子に睨まれつつ、
春道にも不服そうな顔をされつつ......
一体私が何したっていうの!!
何も悪いことしてない!
でも春道が女の子とこんな絡んでるの見たことなかったし、
なんか謎に心も体も重い。
「大丈夫乙夏ちゃん?」
いつもと違う私に気付いたのか、様子を気にかけてくれる悠登
「ご、ごめん本当に私は大丈夫だから!」
「大丈夫な顔してねーだろうが」
なによまたいきなり...
「や、大丈夫だから」
「大丈夫じゃねぇ」
「だから、大丈夫だって!!!」
やっば、、、
いきなり大声を出してしまった私
みんなちょっと驚いちゃってるし
大勢の女の子達には、お前何様?みたいな顔されるし
あああもうやだ!!
「ごめん、急に大声出して....」
春道に目をやれば、なんか悲しそうで
尚更意味がわからない
「乙夏ちゃん無理しないで?
あと、今日はお姉さん方帰ってもらえますか?僕たちにもプライバシーっていうものがあるので。」
爽やかな笑顔で、悠登にこんなこと言われたお姉さん方は
私をギロッ睨みながらぞろぞろと退散していって
なんだか、気まずい雰囲気が残った
鳳桜のメンバーだけになってしまった
元はと言えばわたしのせいなんだけど...
「 乙夏 」
「な、なに」
少しの間の沈黙を破ったのは春道
しかも、名指しで言われた上に
じーっと見つめられ私の心臓の鼓動がだんだんと早くなる
かと思ったら、スッといきなり目線を外されて
え、なに!
全然わかんないし.....!
少しのイライラを募らせる私
それもまた何に対してのイライラかわからなくて....
「.....悪かった。」
「えっ.....?」
さっきまでの思考やイライラがいきなりピタッと止まり
彼の言葉で頭が混乱する
「だから...悪かった。
時間遅れたり、イライラしたりして」
ま、まさかあの春道が......
「春道が女に謝った!!!」
「チッ...うるせーよ。」
どうやら蓮も同じことを思っていたらしい、てか声に出てたけど。
「乙夏、こんなことかなり珍しいから
許してやれ。」
聖月にまで言われた私
や、別に許さないとか思ってなかったけどね!?
「そんな、私も悪かったし....」
チラッと春道を見れば、思いっきり目があってしまって
優しそうに笑う彼にまたドキドキしてしまう
「はい!じゃー仲直りしたことだし
そろそろ海行きますか!」
「はやくいこーぜ!日が暮れるわ!」
そんな蓮の冗談も混じりつつみんなで駅に向かう
「乙夏、なにぼーっとしてんだ。行くぞ」
サラッと私の荷物を持って進んでく春道
なんだか、自然に笑えてきちゃって
「まってよ!はやい!」
「ほら、早く来い」
そう言いつつ、並んだら私のペースに合わせて歩いてくれてるし
「春道....」
「ん?」
なんか、改めていうのも恥ずかしいけど
「ありがとね!!」
自分が伝えられる精一杯の気持ちをきちんと伝える
するといきなりぐしゃぐしゃっと髪をいじられて
「なに、すんの!ボサボサになっちゃったじゃん!!」
綺麗に整えた髪が崩れてしまった
「バーカそんなことするお前が悪いんだよ」
なんて理解不能な言葉で返される
「もう、わけわかんない」
後で、奢らせてやる
そんなことを勝手に決めつけちゃったり
「おーーーい、乙夏っちと春道〜!
はやくはやく〜」
気づけばみんなと少し距離があいてしまっていて
「ごめんごめんー!今いくからー!」
そういって、私は春道の手を取り
「ほら、早く行くよ!」
「ちょ、まてって」
みんなの元へと走っていった