1/2~あなたに捧ぐ花言葉~



恐る恐る、手を伸ばした。

そうすれば彼はしっかりと私の手を取ってくれる。


フェンス越しに手が繋がる。


近くで見た彼は、想像以上に綺麗だった。

誰にも汚されない。

誰にも汚すことの出来ない輝きを瞳に宿していた。


「こっちに来なよ?」


手を放すと、私はフェンスをもう一度跨いだ。

そして彼に一歩踏み出した。


私の決意は完璧に砕かれていた。




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