1/2~あなたに捧ぐ花言葉~
彼ともう一度手を繋ぐ。
すると、風が強く吹いた。
―――ザァッ
屋上庭園の桜は、今日満開になっていた。
綺麗なはずなのに、歪んでいく。
ポロリポロリと涙が溢れた。
お母さん、ごめんね。
もう少しだけ待っていて。
…私はまだ死ねないみたい。
揺れる桜と桜吹雪を手を繋いで眺める。
「私の名前ね、満桜(まお)っていうの。満開の桜って書いて、満桜」
「満桜、か、いい名前だね。…花言葉って、知ってる?」
「んー、聞いたことはあるけど、あんまり知らないかな」
「…桜にも、花言葉があるんだ。桜の花言葉は…優れた美人、純潔、精神美、淡泊…満桜ちゃんにピッタリだね」
そう言って彼は微笑む。
どうしてそう恥ずかしいことを堂々と…っ
…私の顔はきっと真っ赤だ。
「あれ、満桜ちゃん真っ赤だよ?」
バレてるし…
彼はクスクス笑う。
さっきまで大人びた感じだったのに、笑うと途端に歳相応な雰囲気になる。