1/2~あなたに捧ぐ花言葉~



そこで私はあることに気づいた。


「ねえ、葵」

「なに?」

「葵の名前って、ひまわりに似てる」

「満桜ちゃん、よく分かったねぇ…」


ひまわりは漢字で書くと、向日葵。

葵の名前は、日向 葵。

ほら、なんか似てない?


「私ね、夏生まれなんだぁ」

「やっぱり、そうだと思った」

「ふふっ、あのね、私の生まれた病院は
ちょうど向日葵が見える場所だったんだって。

それで、苗字と合わせて、葵」

「へぇー、葵の親も粋なことするね」

「うん、私もこの名前気に入ってるの」


そう言ってニコッと微笑う葵は、

きっと親孝行者なんだと思う。

胸が少し、痛い。


「あのね、向日葵の花言葉って、素敵なんだよ。」

「へぇー…ねぇ、どんなの?」

「向日葵の花言葉は――愛慕、崇拝、そして、『私はあなただけを見つめる』」


私の言葉に、葵は感心したように頷いた。


「なんか、情熱的で素敵だねぇ」

「うん、でも葵のイメージとは、ちょっと違うよかも」

「えー、そう??」

「うん、なんかもっと、優しい感じ」

「ふふふっ、そーかなぁ」

うん、本当に。




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