1/2~あなたに捧ぐ花言葉~




休日、あの屋上に来ていた、


葵も一緒に。



「へぇー、ここが、出逢いの場所なんだ」

「うん、こうやってここに来ても逢える保証なんて無いのに、なんか、また、『何してるの?』って、声をかけてくれるかも知れないって思っちゃうんだよね……」



桜はもう半分以上葉桜になっている。


それでも私には満開に見えるのだから不思議。




「ここって、君影(きみかげ)グループの所有するビルだよね?」



君影グループとは、

《旅館や、スーパー、ショッピングモールなどの多くの商業施設を経営する、有名なグループ会社》



「…うん、確か」

「だとしたら、朝比奈くん達のどちらかが、その時の子である確率は大幅に上がるよ」

「そうなの!?」

「うん、朝比奈くん達って今の総帥の孫らしいし…」


イケメンでその上金持ちってどういうことなの!?


……って、違う違う


そうか、孫なら、あの時ここに居たのも何も不自然じゃない。


「確率が上がったのは嬉しいけどさぁ……」

「嬉しいけど??」

「それにしても霜也が冷たすぎる……」

「そんなに、なんだ?」

「目を合わせるのも嫌そうだった………」

「…まあ、コツコツ信頼を重ねていくしかないよ!頑張って、満桜ちゃん!!」



「うん……………」







―――その時私は気付いていなかった、



物陰から私達を見つめる人が居たことに、



悲痛な叫びに、気づかなかった。




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