10回目のキスの仕方
ベッドから起き上がってこっちを見つめる圭介が視界に飛び込んできて、美海の両目から涙が零れ落ちた。
「え…なんでそんな泣いてる…?」
「圭ちゃんのせいー。」
「せいー。」
小春に日和が声を被せた。
「なぁーんだ、全然元気じゃん。」
「そうなのー。私も病院来たら拍子抜けしちゃって。」
美海の目からはやはり涙が止まらない。
「…なんでそんなに泣いてる?」
「ばっかねー。なんでそういうのわかんないの?だから圭ちゃんはモテない!」
「…ちょっと意味わかんない。」
「じゃー日和、帰ろっか。」
「もー心配して損した。帰ろー。」
二人はそそくさと病室を後にした。美海は病室に入ってすぐの場所で立ちすくんでしまって動けない。
「…立ってそっち行きたいけど、勝手に立つなって言われてる。」
「…ご、ごめんなさい…。」
「…とりあえず、こっち来てくれると、…ありがたい。」
「はい…。」
美海はまだ震えの収まらない身体をどうにか動かして、圭介のベッドの横にある椅子に腰を下ろした。目元をこすって、涙をふるい落とす。病室は個室で、とても静かな空気が流れている。
「…そんな、大したことじゃないんだ。」
「…頭、包帯…。」
そこが気になっていた。頭の包帯、そして頬に大きなガーゼとテープ。右腕にも包帯がある。
「強風にあおられて物置から落ちたんだ。でも、脳とか色々調べてもらったけど大丈夫だって。何か色々と仰々しい。」
「…大丈夫、なんですか…?ほっぺも、腕も…。」
「うん。腕は結構痛いけど、折れてはいないって。今日は一日様子を見るってことで入院だけど、一晩何もなければ退院。」
「本当…ですか…?」
「嘘つかないよ。」
ぶわっとまた、美海の目から涙が溢れた。身体も震える。困ったように左手で自分の頭を掻いて、圭介がその指をゆっくりと美海の瞳に伸ばした。
「…泣かせて、ごめん。どうしたら、…泣き止む?」
「…しばらく…無理…ですっ…。」
「わかった。じゃあ…待つ。」
圭介の指がもう一度、美海の瞳の涙をすくった。それでようやく、身体の震えが収まった。
「え…なんでそんな泣いてる…?」
「圭ちゃんのせいー。」
「せいー。」
小春に日和が声を被せた。
「なぁーんだ、全然元気じゃん。」
「そうなのー。私も病院来たら拍子抜けしちゃって。」
美海の目からはやはり涙が止まらない。
「…なんでそんなに泣いてる?」
「ばっかねー。なんでそういうのわかんないの?だから圭ちゃんはモテない!」
「…ちょっと意味わかんない。」
「じゃー日和、帰ろっか。」
「もー心配して損した。帰ろー。」
二人はそそくさと病室を後にした。美海は病室に入ってすぐの場所で立ちすくんでしまって動けない。
「…立ってそっち行きたいけど、勝手に立つなって言われてる。」
「…ご、ごめんなさい…。」
「…とりあえず、こっち来てくれると、…ありがたい。」
「はい…。」
美海はまだ震えの収まらない身体をどうにか動かして、圭介のベッドの横にある椅子に腰を下ろした。目元をこすって、涙をふるい落とす。病室は個室で、とても静かな空気が流れている。
「…そんな、大したことじゃないんだ。」
「…頭、包帯…。」
そこが気になっていた。頭の包帯、そして頬に大きなガーゼとテープ。右腕にも包帯がある。
「強風にあおられて物置から落ちたんだ。でも、脳とか色々調べてもらったけど大丈夫だって。何か色々と仰々しい。」
「…大丈夫、なんですか…?ほっぺも、腕も…。」
「うん。腕は結構痛いけど、折れてはいないって。今日は一日様子を見るってことで入院だけど、一晩何もなければ退院。」
「本当…ですか…?」
「嘘つかないよ。」
ぶわっとまた、美海の目から涙が溢れた。身体も震える。困ったように左手で自分の頭を掻いて、圭介がその指をゆっくりと美海の瞳に伸ばした。
「…泣かせて、ごめん。どうしたら、…泣き止む?」
「…しばらく…無理…ですっ…。」
「わかった。じゃあ…待つ。」
圭介の指がもう一度、美海の瞳の涙をすくった。それでようやく、身体の震えが収まった。