10回目のキスの仕方
「好きって言うのが怖いのかなくらいには…思ってた。嫌われてる気はしてなかった。自惚れに聞こえるかもしれないけど。」
美海は腕の中で首を横に振った。
「…気の利いたこと、言えないけど…それでいい?」
「え…?」
少しだけ腕の力を緩めると、美海はゆっくりと顔を上げた。涙が一筋、美海の左目から零れ落ちた。
「安心させてあげられるような言葉を言えるかって言われたら…自信はない。まだまだ、美海のことで知らないことは多いし、知ったところで気持ちまで正確に理解するなんて、多分できないし。」
涙が落ちた痕に、手を添えた。そしてそっと、頬に口付けた。
「圭介くん…!」
「泣き止むかなって。」
「っ…び、びっくり…しました…。」
「俺もびっくりした。」
「え?」
「…まさか、本当に言ってくれるとは、思わなかったから。」
欲しくないはずがない言葉を、美海の口から聞くことができた。美海にとても無理をさせてしまったことはわかっている。それでも、最も自分に正直に言うのならば、本当に嬉しい。それこそ、今のキス程度では我慢できないくらいには。
「…嫌、でしたか?」
「なんでそうなる。」
「…自信が、なくて…。」
「自信がないのはこっち。」
「そんな風には…。」
「そんな風に見られてたらかっこ悪すぎて頭抱える。」
「かっこ悪くなんてないです!」
「…調子乗りそうだからやめて。」
「ひゃあ!」
美海の口を封じたくて、強引に抱きしめた。胸の中で少しもごもご言っている彼女が今、愛おしくてたまらない。本当にようやく、ほんの少しだけ彼女の心の淵に触れたような気がする。きっと本当に淵で、まだまだ抱えてるものがたくさんあるのだろう。今回、自分は全くと言っていいほど力になることはできなかった。何がきっかけになったのかはわからないが、それでもどうにか『怖さ』を乗り越えて、言えないでいた『好き』の言葉を口にした。
「…ありがとう。」
「え…?」
「好きって…嬉しかったから。」
「…私も、嬉しかったです。」
甘えるように自分の背中から肩にかけて回った美海の細い腕に、頬が緩んだ。
「…今手放すの惜しいけど、身体結構冷えてるな。」
「…それは圭介くんの方ですよ。」
腕の力を緩めると自然に目が合い、二人で笑った。
美海は腕の中で首を横に振った。
「…気の利いたこと、言えないけど…それでいい?」
「え…?」
少しだけ腕の力を緩めると、美海はゆっくりと顔を上げた。涙が一筋、美海の左目から零れ落ちた。
「安心させてあげられるような言葉を言えるかって言われたら…自信はない。まだまだ、美海のことで知らないことは多いし、知ったところで気持ちまで正確に理解するなんて、多分できないし。」
涙が落ちた痕に、手を添えた。そしてそっと、頬に口付けた。
「圭介くん…!」
「泣き止むかなって。」
「っ…び、びっくり…しました…。」
「俺もびっくりした。」
「え?」
「…まさか、本当に言ってくれるとは、思わなかったから。」
欲しくないはずがない言葉を、美海の口から聞くことができた。美海にとても無理をさせてしまったことはわかっている。それでも、最も自分に正直に言うのならば、本当に嬉しい。それこそ、今のキス程度では我慢できないくらいには。
「…嫌、でしたか?」
「なんでそうなる。」
「…自信が、なくて…。」
「自信がないのはこっち。」
「そんな風には…。」
「そんな風に見られてたらかっこ悪すぎて頭抱える。」
「かっこ悪くなんてないです!」
「…調子乗りそうだからやめて。」
「ひゃあ!」
美海の口を封じたくて、強引に抱きしめた。胸の中で少しもごもご言っている彼女が今、愛おしくてたまらない。本当にようやく、ほんの少しだけ彼女の心の淵に触れたような気がする。きっと本当に淵で、まだまだ抱えてるものがたくさんあるのだろう。今回、自分は全くと言っていいほど力になることはできなかった。何がきっかけになったのかはわからないが、それでもどうにか『怖さ』を乗り越えて、言えないでいた『好き』の言葉を口にした。
「…ありがとう。」
「え…?」
「好きって…嬉しかったから。」
「…私も、嬉しかったです。」
甘えるように自分の背中から肩にかけて回った美海の細い腕に、頬が緩んだ。
「…今手放すの惜しいけど、身体結構冷えてるな。」
「…それは圭介くんの方ですよ。」
腕の力を緩めると自然に目が合い、二人で笑った。