10回目のキスの仕方
* * *
「いただきます。」
「いただきます。」
湯気が上がるパスタをフォークに絡めて一口頬張る。優しい味が口の中いっぱいに広がった。
「美味しいです!」
「濃すぎなくてよかった。」
「あさりの塩味がよくきいてます。すごく美味しい~!」
「うん。美海が美味しく食べれるなら何でもいい。」
圭介の料理の腕前が自分よりもかなり上だと知ったときは、さすがに少しショックな気持ちもあったけれど、今は習う気持ちでいることの方が多い。手際も良いが、何より味が本当に美味しい。
「…圭介くんは本当に料理上手ですね。昔からお手伝いしてたんですか?」
「春姉も日和もやらなかったし。まぁ…なんとなくいつの間にかできるように…。」
「なんとなくでこの腕前ですか…。修行させてください。」
「それはいいけど。…というか、言うほど下手じゃないだろ。今まで作ってもらったものも、全部旨かったし。」
「…でも、圭介くんには及ばないので…。」
「…わかった。じゃあまぁ…また何か作ろう。」
「はい。」
サラダを頬張りつつ、パスタも口に運ぶ。お腹も心も満たされて、ほっと息をはいた。
「ご馳走様でした。お皿洗いは私、やります。」
「いいって。あ、そうだ。プレゼント渡しそびれてた。」
「え…。」
圭介が棚の上から袋を取り出した。コトンと机の上に置かれた、紙袋。
「…多分似合うと…思うんだけど。」
自信なさげな圭介は珍しくて、つい笑みが零れた。
「ありがとうございます。圭介くんに選んでほしいっていうお願いを叶えてもらっちゃって。」
「いや…。それより、誕生日おめでとう。」
「ありがとう…ございます。」
それだけ言うと、圭介は二人分の皿を持ち上げた。
「中開けて待ってて。」
「…はい…。」
ザーザーと水の流れる音がする。そんな中で美海はゆっくりと袋の中身を開けた。
「…ブルーの縁…。」
PC用眼鏡のフレームの色は濃いめの青。そっと手にとってかけてみる。
「圭介くん。」
「ん?」
「洗面台、貸していただいてもいいですか?」
「まぁ、いいけど。…でも、似合ってる。良かった。」
「あ、ありがとうございます…。」
洗面台で鏡を覗く。意外と似合っている青縁の眼鏡をゆっくりと外し、そっとケースにしまう。
「…ありがとう、ございます。」
胸の前できゅっと握った。
「いただきます。」
「いただきます。」
湯気が上がるパスタをフォークに絡めて一口頬張る。優しい味が口の中いっぱいに広がった。
「美味しいです!」
「濃すぎなくてよかった。」
「あさりの塩味がよくきいてます。すごく美味しい~!」
「うん。美海が美味しく食べれるなら何でもいい。」
圭介の料理の腕前が自分よりもかなり上だと知ったときは、さすがに少しショックな気持ちもあったけれど、今は習う気持ちでいることの方が多い。手際も良いが、何より味が本当に美味しい。
「…圭介くんは本当に料理上手ですね。昔からお手伝いしてたんですか?」
「春姉も日和もやらなかったし。まぁ…なんとなくいつの間にかできるように…。」
「なんとなくでこの腕前ですか…。修行させてください。」
「それはいいけど。…というか、言うほど下手じゃないだろ。今まで作ってもらったものも、全部旨かったし。」
「…でも、圭介くんには及ばないので…。」
「…わかった。じゃあまぁ…また何か作ろう。」
「はい。」
サラダを頬張りつつ、パスタも口に運ぶ。お腹も心も満たされて、ほっと息をはいた。
「ご馳走様でした。お皿洗いは私、やります。」
「いいって。あ、そうだ。プレゼント渡しそびれてた。」
「え…。」
圭介が棚の上から袋を取り出した。コトンと机の上に置かれた、紙袋。
「…多分似合うと…思うんだけど。」
自信なさげな圭介は珍しくて、つい笑みが零れた。
「ありがとうございます。圭介くんに選んでほしいっていうお願いを叶えてもらっちゃって。」
「いや…。それより、誕生日おめでとう。」
「ありがとう…ございます。」
それだけ言うと、圭介は二人分の皿を持ち上げた。
「中開けて待ってて。」
「…はい…。」
ザーザーと水の流れる音がする。そんな中で美海はゆっくりと袋の中身を開けた。
「…ブルーの縁…。」
PC用眼鏡のフレームの色は濃いめの青。そっと手にとってかけてみる。
「圭介くん。」
「ん?」
「洗面台、貸していただいてもいいですか?」
「まぁ、いいけど。…でも、似合ってる。良かった。」
「あ、ありがとうございます…。」
洗面台で鏡を覗く。意外と似合っている青縁の眼鏡をゆっくりと外し、そっとケースにしまう。
「…ありがとう、ございます。」
胸の前できゅっと握った。