10回目のキスの仕方
「あなたー帰ったわよ。」
「ぱぱー!ただいまぁ!」
「っ…。」
息を飲んだ。いよいよ、会うことになる。母や弟と会うのとは少し違う。会いたくない人ではもちろんない。ただ、会うのに勇気がいる人であることは間違いないけれど。
ガチャリと奥の方のドアが開いた。そこから出てきた人は、2年前とほとんど変わっていなかった。
「おかえり。…美海。」
しっかりと美海に目を合わせて、そう言った。たった一言、それだけで涙がぐっと溜まって声が震えた。
「…ただ…いま…。…帰り、ました。」
やっとの想いで振り絞った言葉だった。
「はじめまして。浅井圭介です。お忙しい中、電話で何度も…すみません。」
「いやいや、圭介くんにはありがとう、というべきだよ。美海がこうして帰ってきてくれたのも君のおかげだ。」
「…それは…美海さんの意志ですよ。」
「…そうか。さぁ、早く入りなさい。向こうよりこっちの方が寒いだろう?」
「そうですね。雪も思ったより凄いです。…美海。」
「……。」
涙が伝ってしまったこの顔を上げることが難しい。それを察してくれたのかはわからないが、圭介がそっと美海の手を引いた。
「みうちゃん?だいじょうぶ?」
「……。」
「美海ちゃんは大丈夫。少しだけ任せて。」
「わかった!」
空人が美海の横を通り過ぎて玄関から部屋に入る。一番最後は美海と圭介だ。
「…ほら、大丈夫だっただろ?」
声を出せない美海は小さく頷いた。父の優しい笑みを瞼の裏に思い出せば、余計に涙が出た。自分は何を怖がっていたのだろうとさえ思えるくらいに、とても温かい空気だった。
「美海ちゃんに圭介くん、今からご飯の支度するからそれまでゆっくり休んでいてね。あ、圭介くんと美海ちゃんは同じ部屋にしておいたからね!」
「…ありがとうございます。美海、美海の部屋案内して?」
「…はい。」
返事をするだけで、精一杯だ。そのくらい、安心で胸が苦しい。
「ぱぱー!ただいまぁ!」
「っ…。」
息を飲んだ。いよいよ、会うことになる。母や弟と会うのとは少し違う。会いたくない人ではもちろんない。ただ、会うのに勇気がいる人であることは間違いないけれど。
ガチャリと奥の方のドアが開いた。そこから出てきた人は、2年前とほとんど変わっていなかった。
「おかえり。…美海。」
しっかりと美海に目を合わせて、そう言った。たった一言、それだけで涙がぐっと溜まって声が震えた。
「…ただ…いま…。…帰り、ました。」
やっとの想いで振り絞った言葉だった。
「はじめまして。浅井圭介です。お忙しい中、電話で何度も…すみません。」
「いやいや、圭介くんにはありがとう、というべきだよ。美海がこうして帰ってきてくれたのも君のおかげだ。」
「…それは…美海さんの意志ですよ。」
「…そうか。さぁ、早く入りなさい。向こうよりこっちの方が寒いだろう?」
「そうですね。雪も思ったより凄いです。…美海。」
「……。」
涙が伝ってしまったこの顔を上げることが難しい。それを察してくれたのかはわからないが、圭介がそっと美海の手を引いた。
「みうちゃん?だいじょうぶ?」
「……。」
「美海ちゃんは大丈夫。少しだけ任せて。」
「わかった!」
空人が美海の横を通り過ぎて玄関から部屋に入る。一番最後は美海と圭介だ。
「…ほら、大丈夫だっただろ?」
声を出せない美海は小さく頷いた。父の優しい笑みを瞼の裏に思い出せば、余計に涙が出た。自分は何を怖がっていたのだろうとさえ思えるくらいに、とても温かい空気だった。
「美海ちゃんに圭介くん、今からご飯の支度するからそれまでゆっくり休んでいてね。あ、圭介くんと美海ちゃんは同じ部屋にしておいたからね!」
「…ありがとうございます。美海、美海の部屋案内して?」
「…はい。」
返事をするだけで、精一杯だ。そのくらい、安心で胸が苦しい。