10回目のキスの仕方
オススメ掲載御礼 温泉旅行
* * *

「今日からここに1泊よー!」
「やったー!」

 春休み、3日目。今日は美海の家族と圭介で温泉旅行に来ていた。午前中は移動で午後は観光し、宿に戻ってきたところだ。

「空人くん、たくさん歩いて疲れたでしょ?」
「ううん!けいすけくんがかたぐるましてくれたもん!」
「…そうだったね。圭介くん、疲れてない?大丈夫?」
「大丈夫。」

 指輪を買ってもらったお礼に美海が計画した旅行だ。そこで圭介を疲れさせてしまったら元も子もない。

「さーて、美味しいご飯の前に温泉行きましょ!ね、美海ちゃん。」
「は、はいっ!」
「あ、もしかして混浴の方がいいかしら?」
「い、いいえっ!」
「空人くんはどうしますか?よければ僕、見ますけど。」
「あら、いいの?空人、どうする?」
「けいすけくんとおふろがいい!」
「…じゃあ、お願いしてもいいかしら。」
「はい。じゃあ、準備して行こうか。」
「うんっ!」

 空人の小さな手を握る圭介を見つめて、美海はにっこりと笑った。

「美海ちゃん、嬉しそう。」
「空人くんと圭介くんの身長差が可愛くて…。」
「あーそれ、美海ちゃんも思ってた?私もなのよ!なんていうか、絶妙よね!」
「はいっ!」

 わだかまりがなくなってから、母とは特に仲良くなった。こんな風に騒ぐことにも躊躇がなくなった。

「沙樹(さき)さん。」
「なぁに?」
「空人くんの着替え、ください。」
「はぁい!」
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