10回目のキスの仕方
「松下さんが一番。」
「え?」
「俺の方が先に落ちた。」
「そ、そうでしたか…いつの間にか落ちてしまっていました…。」
「気になる?」
「え?」
「越前たち。」
「えっと…そ、そうですね。なんか、明季ちゃんが楽しそうだなって。あ、これってなんか上から目線ですか?」
「いや、そんなことはないけど。」
「…明季ちゃんはいつも楽しい人だけど、今日はいつもより楽しそうでした。越前くんのおかげかな。」
何気なく落ちてきた言葉は紛れもなく本心だった。いつも明るくて元気な明季がより一層楽しそうに笑っていた。その笑顔につられて美海もたくさん笑ったような気がする。
「楽しかった?」
「あ、はいっ!とっても楽しかったです。」
「俺も。童心に戻った感じ。」
「はい!それに近いかもしれません。」
波の音が近付いたと思ったら遠ざかる。案外波は近くまで来ているのかもしれない。
「童心といえば…砂浜を見ると裸足になりたくなってしまいます。」
「なれば?止めないよ。」
「いえっ!さすがに大学生ですので、そんな子供っぽいことは…。」
「誰もいないし、誰も見てない。」
「あ、浅井さんがいます!」
「じゃあ見ないでおいてあげる。心置きなくどうぞ。」
「…一人で砂浜ではしゃぐなんて、できません。」
「じゃあ一緒にはしゃぐか。…俺ははしゃげないけど、サンダル脱ぐくらいなら。」
圭介はそう言ってサンダルを脱ぎ、裸足で砂浜の上を歩く。
「っ、あ、浅井さん!何してるんですか!」
「松下さんが一人じゃって言うから。一人じゃないし、俺も同じ状況だから脱げば、サンダル。」
「汚れますよ。」
「砂なんて取れば落ちるし。そんなの汚れって言わない。」
「でも…。」
「俺も同じ身だから。」
「…じゃあ…。」
美海はゆっくりサンダルを脱いで砂の上に裸足の足を下ろす。足の裏から伝わる砂の感触が懐かしい。
「昼間は熱くてとてもじゃないけど裸足になんてなれないな。」
「そう、ですね。今はぬるくて…ちょっと気持ち良い感じです。」
「うん。気持ち良い。」
波の音しか聞こえない。砂が足の裏についても気にならない。走るわけでも、はしゃぐわけでもなく、ただペタペタと砂浜を歩く。波に近づきたいような、近づいてはいけないような気持ちを抱えながら。
「え?」
「俺の方が先に落ちた。」
「そ、そうでしたか…いつの間にか落ちてしまっていました…。」
「気になる?」
「え?」
「越前たち。」
「えっと…そ、そうですね。なんか、明季ちゃんが楽しそうだなって。あ、これってなんか上から目線ですか?」
「いや、そんなことはないけど。」
「…明季ちゃんはいつも楽しい人だけど、今日はいつもより楽しそうでした。越前くんのおかげかな。」
何気なく落ちてきた言葉は紛れもなく本心だった。いつも明るくて元気な明季がより一層楽しそうに笑っていた。その笑顔につられて美海もたくさん笑ったような気がする。
「楽しかった?」
「あ、はいっ!とっても楽しかったです。」
「俺も。童心に戻った感じ。」
「はい!それに近いかもしれません。」
波の音が近付いたと思ったら遠ざかる。案外波は近くまで来ているのかもしれない。
「童心といえば…砂浜を見ると裸足になりたくなってしまいます。」
「なれば?止めないよ。」
「いえっ!さすがに大学生ですので、そんな子供っぽいことは…。」
「誰もいないし、誰も見てない。」
「あ、浅井さんがいます!」
「じゃあ見ないでおいてあげる。心置きなくどうぞ。」
「…一人で砂浜ではしゃぐなんて、できません。」
「じゃあ一緒にはしゃぐか。…俺ははしゃげないけど、サンダル脱ぐくらいなら。」
圭介はそう言ってサンダルを脱ぎ、裸足で砂浜の上を歩く。
「っ、あ、浅井さん!何してるんですか!」
「松下さんが一人じゃって言うから。一人じゃないし、俺も同じ状況だから脱げば、サンダル。」
「汚れますよ。」
「砂なんて取れば落ちるし。そんなの汚れって言わない。」
「でも…。」
「俺も同じ身だから。」
「…じゃあ…。」
美海はゆっくりサンダルを脱いで砂の上に裸足の足を下ろす。足の裏から伝わる砂の感触が懐かしい。
「昼間は熱くてとてもじゃないけど裸足になんてなれないな。」
「そう、ですね。今はぬるくて…ちょっと気持ち良い感じです。」
「うん。気持ち良い。」
波の音しか聞こえない。砂が足の裏についても気にならない。走るわけでも、はしゃぐわけでもなく、ただペタペタと砂浜を歩く。波に近づきたいような、近づいてはいけないような気持ちを抱えながら。