10回目のキスの仕方
二人に背を向けて歩き出す道は、行きにも歩いた道だ。こうして二人になると緊張感はぐっと増す。
「楽しかった?」
「は、はいっ!楽しかったです。」
「うん。俺も、…久しぶりに夏らしいことした。」
「私もです。去年の夏休みはこんなにワクワクしませんでした。…今年は去年と…とても違います。」
「そう…だな。…今年は違う。松下さんがいるし。」
「え…?」
突然の圭介の言葉に美海の足が止まった。それに合わせて圭介の足も止まる。
「…俺、さ…。」
圭介がこんな風に言いよどむ姿を見るのは、きっと初めてだろう。いつも淡々と言葉を選んでいた。迷いはそこには見えなかった。それなのに今日の圭介は何かに迷っているように見える。
「…浅井、さん…?」
夜になると車通りがほとんどない、人気のない道の途中で足を止めるなんてどうかしている。それはわかるのに、家まで行こうとか近くの公園に行こうとか、そういった類の言葉が出てこない。ただ、不安な気持ちを抱えたままで圭介の名を呼ぶことしか、できない。
「…多分、好きだから。」
「え…?」
好き、という言葉ははっきりと聞こえた。今度は何を好きだと言ったのだろう。海では花火が好きだと言っていた。今度は、何を。彼は何が好きなのだろうか。
「…松下さんのこと、好き…なんだろうと思う。気になる。」
(…意味が…わから、ない。浅井さんが私を…好き…?)
「ごめん、いきなり。なんでこんな話って思うよな…。でも、この妙な緊張感を持ち続けてられない。限界。」
(浅井さんも…緊張していたの?私だけじゃなかったの?)
美海の頭の中は疑問ばかりだ。色々な疑問が浮かぶだけ浮かんで一向に消えてくれない。
「あー…ごめん。本当に。松下さん、顔が固まってる。」
ひらひらと手で顔をあおがれてはっとする。頭の中だけではなく顔まで固まっていたようだ。
「…戻って、きた?」
「ごめんなさい。…ちょっと…理解が…追い付きませんでした。」
「うん。そうかなって思った。なんというか、俺もあまり後先を考えずに本音をぽろっとこぼした感じ…だから。」
少し照れた様子も感じられるが、それでもいたってあまり変わらない圭介に驚く。慌てているのは美海だけみたいだ。
「楽しかった?」
「は、はいっ!楽しかったです。」
「うん。俺も、…久しぶりに夏らしいことした。」
「私もです。去年の夏休みはこんなにワクワクしませんでした。…今年は去年と…とても違います。」
「そう…だな。…今年は違う。松下さんがいるし。」
「え…?」
突然の圭介の言葉に美海の足が止まった。それに合わせて圭介の足も止まる。
「…俺、さ…。」
圭介がこんな風に言いよどむ姿を見るのは、きっと初めてだろう。いつも淡々と言葉を選んでいた。迷いはそこには見えなかった。それなのに今日の圭介は何かに迷っているように見える。
「…浅井、さん…?」
夜になると車通りがほとんどない、人気のない道の途中で足を止めるなんてどうかしている。それはわかるのに、家まで行こうとか近くの公園に行こうとか、そういった類の言葉が出てこない。ただ、不安な気持ちを抱えたままで圭介の名を呼ぶことしか、できない。
「…多分、好きだから。」
「え…?」
好き、という言葉ははっきりと聞こえた。今度は何を好きだと言ったのだろう。海では花火が好きだと言っていた。今度は、何を。彼は何が好きなのだろうか。
「…松下さんのこと、好き…なんだろうと思う。気になる。」
(…意味が…わから、ない。浅井さんが私を…好き…?)
「ごめん、いきなり。なんでこんな話って思うよな…。でも、この妙な緊張感を持ち続けてられない。限界。」
(浅井さんも…緊張していたの?私だけじゃなかったの?)
美海の頭の中は疑問ばかりだ。色々な疑問が浮かぶだけ浮かんで一向に消えてくれない。
「あー…ごめん。本当に。松下さん、顔が固まってる。」
ひらひらと手で顔をあおがれてはっとする。頭の中だけではなく顔まで固まっていたようだ。
「…戻って、きた?」
「ごめんなさい。…ちょっと…理解が…追い付きませんでした。」
「うん。そうかなって思った。なんというか、俺もあまり後先を考えずに本音をぽろっとこぼした感じ…だから。」
少し照れた様子も感じられるが、それでもいたってあまり変わらない圭介に驚く。慌てているのは美海だけみたいだ。