レオニスの泪

いやでも、森の言うことを100%信用できるか、と言ったら出来ない。


にしたって、あの自信満々、完璧調子に乗った顔から察するに、少なくとも森自身は断定している、ということになる。


かといって、このまま、次の診察の時に、神成に訊ねるにしても、かなりハードルが高い。

訊ける筈がない。



「うーん…」



例えば、森の言うことが間違いだった場合。

こないだの公園での人違い事件だって気まずかったのに色々最悪な結果になるだろう。


では逆に。

森の言っていることが正しかった場合。


神成は一体何故、そんな嘘を吐く必要があるのか。

また、森の前では指輪を外しているのだろうか。

もし、自分の前でだけ、指輪をしているのだったら?



「意味わかんな…」


何にせよ、神成が結婚していようがなかろうが、自分には関係のないことなのだから、神成に問い質すことなんて、不可能なのだ。








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