レオニスの泪
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「っくしゅ」
次の朝。
「慧ー、そろそろ、チャルダーマンのDVD消して、天気予報見せて。」
台所で、調理に使った器具を洗いながら、テレビ前でぼけらーっとしている小さな背中に声を掛ける。
「はぁい。」
慧は素直に返事をしてから、慣れた手付きでディスクを取り出した。
「ありがとねー」
あれから、うたた寝してしまって、結局目が覚めたのは午前零時を過ぎた所だった。お陰で全ての作業はずれ込み、夏とはいえ、体も冷え切ったらしく若干風邪をひいた。風邪予備軍と言った所か。
朝だってもう少し眠っていたかったが、こういう時に限って、慧がいつもより早く起きた。
結果、チャルダーマンのDVDを観せて、朝食ができるまでの時間稼ぎをしていたというわけだ。
「あははっ、ママー、この人変なこと言ってるー!!」
トーストにかじり付きながら、テレビのチャンネルをニュースに変えてくれた慧が、ケラケラと笑い出す。
「えー?どれどれ?」
私も、濡れた手をタオルで拭いながら、テーブルに近付き、コメンテーターに注目した。