レオニスの泪
かっちりしたニュース番組というよりは、バラエティの要素を含んだ朝の情報番組。


画面の中には、今人気沸騰中のお笑い芸人が、取材の真っ最中に、得意の芸を披露していた。


お笑い番組を好んで観ることはなかったが、嫌いではなく、チャンネルを変えた時に合えば、二人で笑う。



「最近この人たち引っ張りだこだよねー。よく出る…」



言いながら、ウィンナーをつまんだ。



「面白いねぇ。保育所でもね、皆に大人気なんだよー。」



慧も楽しそうに振り返って、芸人の真似をして見せた。



「はは!慧、上手だねぇ。そっか、保育所でも人気なのかぁ。ママの職場には話題にしている人、あんまりいないなぁ。やっぱり若い人にウケるのかな。」


慧のお皿の上に、卵をのっけて、レタスも少しだけ添える。


「うひゃー、レタス…」


苦いの、と慧が複雑な顔をしたけれど。



「つべこべ言わないで、食べる!栄養栄養!そしたらスイカを食べて良し!」



じゃじゃーん、と冷蔵庫から、小さくカットした西瓜を出せば、慧は無言でレタスにがっついた。

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