レオニスの泪

「離婚するのも、時間の問題だと思ってる。お互い冷めてるし。」



木戸は、なんでもない事のように、言ってのける。



ーなんで。



どうして、男はいっつもこうなんだ。


結婚はそこまで軽々しく扱われるものになってしまったのか。

それとも、表面化したのが最近で、実際は昔から誓約は守られて来なかったものなのか。


一生愛すると。

一生側にいると。


相手を幸せにします、と。


誓う、ことは。


誓った過去は。


少しのすれ違いと。

諦めと。

そして、幻滅。


それで、いとも簡単に、反故にされてしまうものなのか。



その程度、なのか。



完璧に誓約を果たすことなど、無理なのはわかってる。

それはお互いに。

だけど、越えてはいけない一線というものがある。


例え、考えてもみなかった状況になったとしても、誓いを貫く。


辛くても、貫く。


恋人から家族になるのに。

どうして、家族よりも恋人が欲しくなってしまうんだろう。




ー『違う女も試してみたかったんだ』


そう言ったのは、誰だったっけ。


私は、1人で良いと思う。

貴方だけが、想ってくれればそれで良いのに。

そう思っているのは、私だけなのか。


男は皆、パートナーを裏切るのか。


それは、自分が傷付かないから?

それとも、傷付いているのに、気づかないから?

私が面倒だから、面倒じゃない女の所に行きたがるの?


じゃあ結局、逃げたの?
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