レオニスの泪
「よっ…っけーなお世話だ、馬鹿野郎…」
誰もいなくなった中庭。
一人残った私は、息絶え絶えに、見えなくなった木戸に向けて罵声を浴びせた。
ー期限って、何様だと思ってんのよ。
ふらふらと、空いているベンチに辿り着き、這いつくばるように寝そべった。
ー惨めだ。
男を前にすると、いつもそうなる。
それが、無性に悔しい。
嫌い。
大嫌いだ、男なんて。
なのに、どうして、期待する。
これは女の性分なのか。
誠実な人がいるんじゃないか。
自分を探し出してくれる人がいるんじゃないか。
でもハードルは、自分にとってかなり高くなってしまった。
慧がいる。
あの子に、これ以上嫌な思いはさせたくない。
でも、頼りたい。
誰かに頼りたい。
じゃ、誰に?
「やば…帰れない、かも」
視界がぼやけて、いつもよりも更に熱い涙が目を覆う。
じわり、滲んだ程度。
悲しい涙じゃなく、熱で出た涙。
「あー、ムカつく。」
木戸のせいで。
また、男のせいで。
「ったく、どいつもこいつも…死んじゃえばいいのに。」
ひどい呪いの言葉を発した。
「誰のこと?」
すぐ側に、誰かが居たなんて、気付かずに。
誰もいなくなった中庭。
一人残った私は、息絶え絶えに、見えなくなった木戸に向けて罵声を浴びせた。
ー期限って、何様だと思ってんのよ。
ふらふらと、空いているベンチに辿り着き、這いつくばるように寝そべった。
ー惨めだ。
男を前にすると、いつもそうなる。
それが、無性に悔しい。
嫌い。
大嫌いだ、男なんて。
なのに、どうして、期待する。
これは女の性分なのか。
誠実な人がいるんじゃないか。
自分を探し出してくれる人がいるんじゃないか。
でもハードルは、自分にとってかなり高くなってしまった。
慧がいる。
あの子に、これ以上嫌な思いはさせたくない。
でも、頼りたい。
誰かに頼りたい。
じゃ、誰に?
「やば…帰れない、かも」
視界がぼやけて、いつもよりも更に熱い涙が目を覆う。
じわり、滲んだ程度。
悲しい涙じゃなく、熱で出た涙。
「あー、ムカつく。」
木戸のせいで。
また、男のせいで。
「ったく、どいつもこいつも…死んじゃえばいいのに。」
ひどい呪いの言葉を発した。
「誰のこと?」
すぐ側に、誰かが居たなんて、気付かずに。