レオニスの泪
―まだ若いからイケると思っていたけど、脳が弱ってきてるのかな。でも記憶力の低下は30代からって言うけど…。やっぱり、ちょっと疲れてんのかなぁ。
そうは思っていても、夜も中々寝付くことが出来ない。
身体はくたくただというのに、どうしてか、目だけが冴えている。
翌朝、手足が痺れる上、眠れなかったという思いで精神的にもぐったりする。
悪循環だった。
―いやいや、大丈夫だって。慧が小学校入って落ち着けば、自分も少し余裕が出てくるだろうし。きっと今だけだって。
自分の内にある異変。引っかかる『何か』。
それにそっぽを向いて、無限に積み重なっているように見える『やらなければならないこと』に必死に向き合った。
汗だくになって、働いて。
慧を育てる。
それが、自分に科せられた慧への償い。
本来なら、祝福されて生まれるべき命。
愛されるべき存在。
両方の親が居るのが普通で。
自分が後先を考えずにしたことで、慧に与えられなかったものは、沢山ある。