レオニスの泪

―まだ若いからイケると思っていたけど、脳が弱ってきてるのかな。でも記憶力の低下は30代からって言うけど…。やっぱり、ちょっと疲れてんのかなぁ。



そうは思っていても、夜も中々寝付くことが出来ない。

身体はくたくただというのに、どうしてか、目だけが冴えている。


翌朝、手足が痺れる上、眠れなかったという思いで精神的にもぐったりする。



悪循環だった。




―いやいや、大丈夫だって。慧が小学校入って落ち着けば、自分も少し余裕が出てくるだろうし。きっと今だけだって。



自分の内にある異変。引っかかる『何か』。


それにそっぽを向いて、無限に積み重なっているように見える『やらなければならないこと』に必死に向き合った。




汗だくになって、働いて。




慧を育てる。



それが、自分に科せられた慧への償い。



本来なら、祝福されて生まれるべき命。

愛されるべき存在。

両方の親が居るのが普通で。



自分が後先を考えずにしたことで、慧に与えられなかったものは、沢山ある。


< 16 / 533 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop