レオニスの泪
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ー結局眠れなかった。
真夜中の大雨が、嘘みたいにすっきりと晴れ渡る空。
ピカピカの太陽の光が、寝不足の目に沁みる。
ー大切な人って誰のことだったのかな。女のひと、だよね、、きっと。
慧を保育所に送り、大学病院へと向かう途中。
自転車を走らせながら、ふぁぁ、と朝から何度目かの欠伸をこぼした。
ー居ないって、どういうことなんだろう。
考えても考えてもわからなくなる、神成のこと。
元々謎だらけで変なヒトではあったが、それが更に深まる。
挙句。
ーなんてこと、しちゃったんだろう…
自分のしてしまった事も、頭の中にリプレイされて、顔から火が出そうな程恥ずかしい。
幾ら何でも、抱き締めるとか、しないだろ、と己に突っ込んでも遅い。
神成はあんな事をした自分の事をどう思っただろう。
特に触れられなかったのは、有り難くもある半面、スルーされたかのようで情けなくもある。