レオニスの泪
「あまり私語が多いようだと、ここ辞めて別の場所行ってもらう可能性もあるから。」
「ー?!」
あまりな木戸の突然の勧告に、一瞬言葉を失い、眉間にぐっと皺が寄る。
ー今、なんて…
「…どういうことですか?お言葉ですが、さっきの件に関しても、私がほとんど口を開いていないことはおわかりだと思いますけど。」
庇う庇わない云々迷っている暇はなくなった。
私は目の前に座る男に真っ当だと思う事を躊躇なく伝えるが。
「ー男の話、だったでしょ。」
木戸は冷えた目で言い放つ。
「ミーティングに集中していたので、内容はよく覚えていません。どっちにしろ一方的なものでしたし。」
私も負けじと言い返すけれど。
「ここの医者と、デキてんの?」
「っー??」
次の木戸の問いに、息を呑んだ。
「あ、動揺してる。」
さっきとは別の意味で言葉に詰まった私を見て、木戸はこの日、初めて笑顔を見せた。