レオニスの泪
数秒の沈黙。
思いっきり溜め息を吐きたい所だが、既の所でなんとか堪えた。
「…その件に関してはお断りした筈です。」
「知ってる。」
よくもまぁ、いけしゃあしゃあと言えるもんだと感心する。
「ーそれは、脅しですか?」
睨みつければ、木戸はまさか、と肩を竦めー
「でもその男に嫉妬してる。」
笑顔を消して、真っ直ぐな視線を向けてきた。
咄嗟に返す言葉が見つからない程に。
「正直、離したい。」
「…そんなこと言われても、私は木戸さんのなんでもありません。」
思わず口を開けば。
「それも、知ってる。」
木戸は真面目な表情のまま、頷くものだから、話にならない。