レオニスの泪
公園の街灯は薄暗いけれど、それでも夜空を見上げるには適さない照度だ。
そう思いながらも、つい、つられるようにして神成の視線の先を追ってしまうのは、彼が何を見ているのか知りたいから、なのかもしれない。
ー星、じゃないか。
先週とは違い、晴れている空には、やけに煌々と光る月以外は確認できなかった。
諦めてまた地上に目を戻すと。
ー!
一瞬の内に立場が逆転していて、神成が私を見ていた。
「こんばんは」
「…こんばんは」
油断した、と苦々しく感じながらも、とりあえず挨拶を返し、仕方なく距離を縮める。
彼もまた、シャツにジャケットを羽織った出で立ちで、ベンチから腰を上げるとこちらへ歩み寄ってくる。
「冴えない顔してるね。何かあった?」
お互いの表情が読み取れる位近づいた所で、神成が首を傾げた。
「ここの所、少し落ち着いてたんですけど…またちょっと先週から息がし辛いです。」