レオニスの泪


ほら、涙だって止まった。




ー強くなきゃ。


男なんかに頼らずとも。

他の誰にも頼らなくても。



「こんな事位で、泣いてたら…もっとーこんなことで泣かない位、立ち向かえる位…そんな些細な事って言える位、、強くなる為には、どうしたら良いですかっ…?」



神成の胸を押した手はそのままに、私は訊ねる。



ーもっと、強くなりたい。




「頼りたくない…頼りたいって思いたくないんですっ…」



だって、そんな人、居ないんだから。

ううん、居たらいけない。


慧の他に、特別な人を作りたくない。


これ以上、増やしたくない。


何か一つ増えれば、今まであった一つが、疎かになる。


そうなったら、怖い。


そんな存在を作りたくない。


だから、一人で。

強くなって、一人で守りきれるようになりたい。




そんなことをぐるぐる考えている私の表情は、きっと険しい。


が。



「ー!?」



頭に、大きな掌が、ポン、ポンと置かれる感触がして、地面を睨むようにしていた私は硬直する。
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