レオニスの泪


ふわりふわりと紡がれていった言の葉なのに。


神成は、静かな声で、優しいのに。


そのひとつひとつが、鋭い刃となって、自分の身体全体を、隙間なく突き刺していく。


「祈さんは強くなんかない。祈さんだけじゃない、人は皆弱くて脆い。人は一人じゃ駄目なんだ。でも今の世界は、特に日本は、それが恥ずかしい事や駄目な事だと捉えられてる。ある人は頼り過ぎて、ある人は頼れない。皆頼り方を知らない。」



私の目にはまた、熱いものがあっという間に込み上げてきてしまう。



「周囲も気付くべきなのかもしれない、そっとしておくんじゃなくて、踏み込むべきなのかもしれない。でもねー」



ピタリと止まった掌。

神成は少し屈んで、私を覗き込むような姿勢をとった。




「自分も晒け出さなきゃいけないんだと僕は思うんだよ。『助けて』を言えるようにならないと。手遅れになる前に、助けてを言えなくなる前に、きちんと表すべき、伝えるべきなんだ。」



ボロボロと溜まった涙が、抑えきれずに零れて落ちて。



「大人が、親がー君が、『頼れる世界』を見せてあげないと。」



もう、押しとどめるのは、無理だと思った。
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