レオニスの泪
「ポイントカード、お持ちですか?」
「あ…、大丈夫です。」
「新聞とってもらえませんかー?奥さん!今なら洗剤付けますよ!」
「…うちは大丈夫ですから…」
「葉山さん、それ、終わりそう?」
「大丈夫だと思います。」
「雨凄いよ、送ろうか?」
「あ、いや、、大丈夫です。」
大丈夫って、便利な言葉だ。
頷きたくない場面で、相手を傷つける言葉を吐かなくても、拒否する言葉を発さなくても、察してもらえる。
「元気ですか?」と訊くのが憚られる場合でも、「大丈夫ですか?」と言えば、やんわりと様子を窺うことが出来る。
結局は、自分が悪者になりたくないだけなんだけど。
はっきりするのは苦手で、中間の、曖昧なニュアンス。
特に日本人は、それを好む傾向にある、と私は思う。
私もそんな中の一人。
だから、よく使ってきた。
そんな、愛用の大丈夫にしっぺ返しを食らったのは、ここ最近のこと。
というか、現在進行中、だ。