レオニスの泪
彼はそれを嬉しそうに見つめ、手に取って、パラ、パラとゆっくりめくる。
「ーはい、間違いないです。ありがとうございます。」
明らかに年下な私に、馬鹿丁寧にお礼を言った。
本を扱う姿勢から、彼がどれだけそれを大事に思っているのかが窺える。
「では、あちらのレジは混んでますから、お会計はこちらで致します。」
カウンターに戻された本のバーコードをスキャンして、金額を伝えると、彼は財布から札を出して、私はそれを受け取った。
一連の動作は、いつもと変わりなかった。
「ー4,225円のお返しです…」
最後、釣銭を渡す時以外は。
表のレジを使う時は、トレイの上にお金を揃え、客に受け取ってもらうようになっている。しかし、臨時に開いたレジには、そのトレイがない。
必然的に受け渡しは、手と手で行う事になる。まず先にお札、そして小銭、というように。
「ー?」
渡した筈なのに、逆に掌に何か押し込まれた感触がして、咄嗟に握ってしまう。
「ーはい、間違いないです。ありがとうございます。」
明らかに年下な私に、馬鹿丁寧にお礼を言った。
本を扱う姿勢から、彼がどれだけそれを大事に思っているのかが窺える。
「では、あちらのレジは混んでますから、お会計はこちらで致します。」
カウンターに戻された本のバーコードをスキャンして、金額を伝えると、彼は財布から札を出して、私はそれを受け取った。
一連の動作は、いつもと変わりなかった。
「ー4,225円のお返しです…」
最後、釣銭を渡す時以外は。
表のレジを使う時は、トレイの上にお金を揃え、客に受け取ってもらうようになっている。しかし、臨時に開いたレジには、そのトレイがない。
必然的に受け渡しは、手と手で行う事になる。まず先にお札、そして小銭、というように。
「ー?」
渡した筈なのに、逆に掌に何か押し込まれた感触がして、咄嗟に握ってしまう。