レオニスの泪
叶うことのない、希望。

果たされることのない、希望。

保証のない、希望。

そんなものは、そもそも、希望とすら、呼べはしないのに。


それに、頼り、縋り、支えられてきた。



「だから、他者を受け容れたり、自分を預けたり、できないんだよ。その柱を失ってしまったら、動けないと思うから、怖いんだ。」



「………」




図星過ぎて、言葉にならない。


全て、その通りだった。


止んだはずの風がまた、ゆっくりと吹き始め。




「…辛いね。」




ぽつり、落ちた声も、持っていかれそうになる。




「でも、失くしたら、もっと辛くなる?」



訊ねられて、素直に頷いた。



何年も、執着した想いは、ぼろぼろになって擦り切れているのに、捨てることができない。



正直、捨てたらどうなるのか、わからない。


捨てたら、自分が壊れてしまうような。

今迄の自分を否定してしまうことになりかねないような。

そして、それは、最終的に慧に繋がるんじゃないかと。


そういう恐れだけが、纏わり付いてくる。
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