レオニスの泪
「あとーもし無職になったら、僕の所にハウスキーパーに来てくれればいいよ。」
「はぁ…っはぁ?!」
帰ろうか、とでもいうように、くるりと背を向けた神成が、さらりと提案。
反射的に、適当に頷いて、直ぐに声がひっくり返った。
「なっ、からかわないで下さいっ。冗談キツイです。」
慌てて抗議するが、数歩先の彼はチラと顔だけこちらを振り返りー
「本気だけど?」
「!?」
何言ってんの、みたいなニュアンスで返してくる。
そして、両手をポケットに突っ込み、思案するように空を見上げた。
「ま、それだけじゃ、大変だろうけど…何年かしたら僕も開業しようかなぁと考えたりしてるし、そこで雇ってあげてもいいよ。」
「止めてください、そういう…同情っていうか、、、そういうの…」
「同情は、悪い意味じゃないけど、同情からじゃないよ。単に祈さんは仕事出来そうだから。」
あっけらかんとした口調で、私の動揺ぶりにも気づかない。