レオニスの泪
「ま…まぁー」
小さく唸るような声が聞こえて、はっと我に帰った私は、すぐさま幼い我が子のもとへと駆け寄った。
小さな明かりに照らされる慧の眉間に皺がよっている。目は瞑っているものの、何か嫌な夢を見ているのかもしれない。
「ママ、いるよ」
囁いて、横になって、その手を握った。
すると直ぐに、慧の表情は和らいで、身体からも力が抜けていく。
それを確認しても、繋いだその手を、なんとなく放せなかった。
ずっと持っていた想い。
勇吾に向けていた願い。
それが今、静かに変わろうとしている。
けれどそうなったら。
この気持ちを認めてしまったら。
ーこの子を大事にできなくなる気がする。